クレジット・信販 2つの法改正で羽交い締めにされた悲劇

クレジット・信販業界が、“前門の虎、後門の狼”に苦しんでいる。前門の虎とは「改正貸金業法」(07年12月公布)、後門の虎は「改正割賦販売法」(08年6月成立)である。

沖縄に激震が走った
 この夏、沖縄県で最大手の信販会社「オークス」が約485億円の負債を抱えて倒産した。「過払い金返還請求に対応するため、大幅な貸倒引当金の積み増しを強いられた上に、利息制限法内への金利引き下げ、総量規制による融資額の低下」(東京商工リサーチ)が原因だった。過払い請求や金利引き下げなどまさに改正貸金業法に盛り込んだものである。

 沖縄県の1人当たりの年間平均所得は202万円と、全国平均の304万円を大きく下回り、日本で最も少ない。所得の少なさからクレジットや信販会社に頼る県民が多いのが現実だ。なかでもオークスは最も頼られた企業だった。

「鉄道のない沖縄は車がなければ生活できません。しかし所得があまりないため、ローンで車を買う。実際、オークスの売上高の4割が中古車向けローンです。オークスは沖縄の生活を下支えしてきたのです」(沖縄県のクレジット関係者)

 オークスの設立は1972年と古い。
 前出の関係者が怒りをあらわにする。
「オークスは古い書類を几帳面に保管していましたが、それがアダとなった。過払い請求を認める改正法のせいで何十年も前にさかのぼって返還せざるをえず、負債が大きく膨らんで倒産してしまったのです。まともに商売していたところが潰れる、こんなことがあってよいのでしょうか」

 約1万1832社――これは07年3月時点の貸金業者数だ。ここにはクレジット・信販会社が含まれている。ところが、08年3月時点では9115社。わずか1年で23%も減ってしまったのだが、本格的な倒産ラッシュはこれからだ。


無理難題をふっかける、お上
 最近、クレジットカードが使えない店が増えている。エステや宝石、貴金属、呉服などの高額商品を扱うところに目立つという。カードが使えないワケを会社に聞くと、「信販会社が取引しない」と言い、信販会社に理由を尋ねると「改正割賦販売法が変わったせい」と答えた。どういうことか。

「締め付けられているのはわれわれクレジット・信販業界の方ですよ」

 信販幹部に疑問をぶつけると、思わぬ答えが返ってきた。本来、割賦法は分割払いに関する法律で、消費者による契約解除のクーリングオフなどを規定していることで知られる。ところが、クレジット契約を悪用する業者が氾濫し、分割払いを使って高額な商品を売りつける不正販売が横行。被害者が続出したため法改正が行われた。

 施行は10年までに行われるが、これで事態が一変する。業界は先行して動いたのだ。

「押し売りなどトラブルを起こしたり、怪しげな商売をしている、いわゆる“不良販売店”にクレジットを提供することが禁じられる。しかも、クレジット会社には加盟店が悪さをしていないか調査することが義務づけられている。それで業界は早めの“自己防衛”に出たのです。

もし加盟店が虚偽の説明をして勧誘したり、過度に販売していたら、信販会社も同罪と見なされて、行政処分や賠償責任が科せられますからね。“過剰防衛じゃないか”という批判は耳に入ってますが、何十万件もある加盟店がすべてマトモかどうかどうやって判別できるんですか。我々にそんな調査力はない。法律がムチャクチャなのです」(前出の信販幹部)

 一部の悪徳業者の手口を盾に取り、できもしないことを業界に命じるウラには、主務官庁である経済産業省の思惑が透けて見える。
「割賦販売法改正に知恵をつけたのは、“一部の弁護士だ”と信販業界では語られている。法案に集団訴訟も盛り込むことで余り気味とされる弁護士の仕事を増やすことができる。一方、官僚は法曹界との関係を深めることで、天下り先を確保しようという狙いでしょう。お互いのメリットが官僚のモチベーションをかきたてているのではないでしょうか」(信販業界関係者)

 消費者保護の名の下に、省の権益や天下りの拡大を図る。甘い汁のためなら信販業界がどうなろうと関係ないという連中だ。